HSBC香港口座が閉ざされた今、日本人投資家に残された選択肢とは

コラム

こんにちは。ブレインシードオフショア研究所所の開田晋作です。

海外口座といえば「HSBC香港」という時代が長らく続いていました。日本人の間で最も知名度が高く、旅行や出張のついでに口座開設する日本人もかつては多くいました。特に2000年代後半から2010年代前半にかけては、専門のツアーが組まれ、「海外投資を始めるなら、まずはHSBC香港で銀行口座を」というのが常識のように語られていました。

しかし、今やその常識は完全に過去のものとなりました。2025年現在、日本居住者は新規でHSBC香港の口座を開設できなくなったのです。
これは単なる一銀行の方針変更ではなく、国際的な規制強化と日本人投資家を取り巻く環境の変化を象徴する出来事と言えます。

本記事では、なぜHSBC香港が日本人の口座開設を停止したのか、その背景と投資家に与える影響、そしてこれから日本人が取るべき現実的な選択肢について詳しく解説します。

当所は、日本国内で数少ないオフショア金融商品の契約手続きに特化した行政書士の在籍する研究所です。オフショア投資に関するご相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。


2017年以降、OECDが推進するCRS(Common Reporting Standard)の枠組みにより、各国の金融機関は居住者の金融口座情報を自国の税務当局に報告し、その情報が国際的に自動交換されるようになりました。
これにより、「海外に口座を持てば日本にバレない」という時代は完全に終わりを迎えています。

HSBC香港も例外ではなく、日本居住者が口座を持てば、その残高や利息などの情報は自動的に日本の国税庁に通知されます。銀行側にとっても、日本人居住者の新規開設はリスクとコストが増すだけでメリットが乏しい状況となったのです。

加えて、近年はAML(Anti-Money Laundering:マネーロンダリング対策)とテロ資金供与防止の規制が年々強化されています。
銀行は新規顧客を受け入れる際に、職業・資産の出所・投資目的などを詳細に審査する必要があり、少しでもリスクが高いと判断されれば口座を断る流れが一般化しています。

日本人投資家は必ずしも犯罪リスクが高いわけではありませんが、「非居住者かつ小口投資家」という属性は、銀行にとっては旨味が無く、利益よりもコンプライアンス上の負担が大きい顧客層となってしまいました。

日本は金融庁の規制が厳しく、海外銀行にとっては「余計な監視対象」となることも理由のひとつです。実際に、日本居住者向けに積極的に口座開設を認める銀行は世界的にも目に見えて減少傾向にあります。
つまり、今回のHSBC香港の動きは単なる一銀行の判断ではなく、国際的な規制の流れと日本居住者の扱われ方の変化を反映したものなのです。


これまでHSBC香港は、RL360°やインベスターズトラストなどオフショア投資商品の積立送金ルートとして多く利用されてきました。日本から海外送金を行う際の「中継地点」として機能していたわけです。
しかし新規で口座が作れない以上、今後は他のルートを確保する必要があります。

送金と共に、積立投資を解約した際の出金先としても、HSBC香港口座は非常に便利でした。国内の金融機関に直接送金すると、着金までの時間が多大にかかったり、金融機関によっては聞き取り調査や着金拒否なども見受けられる他、送金手数料も非常に高額になるため、香港経由で受け取るという方法が長らく好まれてきました。今後はこの受け皿をどう確保するかが重要な課題になります。

勿論、すでにHSBC香港の口座を持っている人は、当面利用を続けることができます。ただし、近年は休眠口座の一方的な凍結や、住所確認書類の提出を怠ったことで利用停止になる事例が頻発しています。
「既に講座を持っているから安心」ではなく、メンテナンスを怠ればいつでも閉鎖リスクがあると理解しておく必要があります。


HSBC香港の日本人居住者向け新規口座開設が閉ざされたことを受けて、巷では「別の国の銀行口座を作りましょう」と熱心に勧誘する業者が急増しています。特に目立つのがラオスやカンボジアなどCRS非加盟国の銀行口座の案内です。

「ラオスはCRSに加盟していないから、日本に情報が行かない。だから安全です。」
このような宣伝を見たことがある方もいるかもしれません。しかしこれは事実上の脱税指南であり、極めて危険な行為です。

日本の居住者である以上、たとえラオスに口座を持っていても、税務申告義務から逃れることはできません。むしろ国税庁に目をつけられた場合、海外資産隠し=悪質な脱税とみなされ、重加算税や刑事罰に直結するリスクすらあります。「CRS非加盟国だから、日本の税務署は関知できず、納税せずに資金を引き出せますよ」と謳う紹介業者も多く存在しており、非常に悪質な手口と言えます。

さらに、ラオスの銀行は資本基盤が脆弱で、突然送金停止になったり外貨引き出しができなくなったりするリスクが高いです。こうした国の金融システムは政治・経済情勢の影響を大きく受けやすいため、資産保全の観点からは極めて不安定です。「銀行は安全な資金保全先」という日本人の固定観念は、海外では全く通用しません。

日本国内で「海外口座開設サポート」をうたう業者の多くは、何の資格も持たない小資本の法人や個人事業主です。コンサルティング料や現地への渡航費用に上乗せして代金を徴収し、実際には開設できない、あるいは適切に開設できても、自身の顧客情報を不動産会社のワンルームマンション投資などに流用し、顧客名簿に勝手に登録され、悪用されるケースも把握しています。「甘い話」や「裏ルート」には決して乗らないこと。 これは海外口座を検討するすべての人に共通する鉄則です。


香港以外にも、日本人が口座を開設できる銀行は存在します。ただし要件は厳格化しており、一定の資産証明や現地住所、ビジネス背景が求められるケースが増えています。
一例として、東南アジアや欧州の一部の銀行では一定の預入額を条件に受け入れてくれる場合があります。また、資産規模によってはプライベートバンク口座の開設も現実的な選択肢です。

資産規模が数千万程度の小口の日本人投資家にとっては、海外銀行口座の開設にこだわるよりも、Wise(旧TransferWise)などの国際送金サービスを利用する方が効率的です。
送金スピードやコストの面でも銀行送金より優れており、オフショア投資商品の着金ルートとして、ほとんどの日本人投資家達のニーズを満たし、実用的に機能します。

当所は、日本国内で数少ないオフショア金融商品の契約手続きに特化した行政書士の在籍する研究所です。オフショア投資に関するご相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。


HSBC香港の新規口座開設が締め切られたしたことは、単なるトピックではなく、オフショア金融商品を契約している日本人投資家にとって「オフショア投資の時代が新しい段階に入った」ことを意味しています。

これまでのように「とりあえず着金先としてHSBCを作っておけば大丈夫」という時代は終焉を向けました。これからは、

  • 透明性の高いルートを確保すること
  • 怪しい業者や脱税指南に惑わされないこと
  • 自身の資産管理体制を強化すること

が、オフショア金融商品既契約者にとって不可欠です。

甘い話に飛びつくのではなく、国際的な規制の流れを理解し、合法的かつ安全に自身の資産を守る。これが現代のオフショア投資家に求められる姿勢だと考えられます。

当所は、日本国内で数少ないオフショア金融商品の契約手続きに特化した行政書士の在籍する研究所です。オフショア投資に関するご相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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