オフショア投資は税金がかからない?
こんにちは。ブレインシードオフショア研究所の開田晋作です。
近年、オフショア金融商品を利用する個人投資家が増えています。しかし、海外の金融機関や資産運用会社から送金を受ける際に、どのような税金が発生するのかを正しく理解せぬまま運用をしている投資家が多いのが現状です。本記事では、オフショア金融商品の着金時にかかる税金の種類や申告義務、さらに受け取り方法による税額の違いについて考察します。結論から申し上げると、日本在住の日本人には、たとえオフショア投資でもしっかりと税金が発生します。「オフショア投資=非課税」ではありません。
本記事では、オフショア投資の概要や特徴を踏まえつつ、日本人の契約者が多いとされる代表的な金融商品を例に、着金時の税金に関しての私見を述べています。これは納税方法を確定する物でも、異なる納税方法を取っている投資家の方々への批判をするものでもありません。予めご了承ください。また、納税はご自身で行うか、国際資産課税に強い税理士の方をお頼り下さい。当事務所は税金に関してのアドバイスは一切できません。
オフショア投資とは
オフショア投資とは、租税規制が比較的緩やかな地域(タックスヘイブンや金融特区など)で提供される金融商品を活用して資産を運用することを指します。イギリス領マン島やケイマン諸島、香港、シンガポール、ドバイなど世界中にオフショアエリアは点在しています。
日本人が最も活用するオフショアエリアとして、今までは香港が一般的でしたが、近年は中国リスクから、シンガポールなどの他オフショアエリアへの資産移転が徐々に進んでいます。これらのエリアを介して組成された金融商品に投資した結果、配当や利息、満期金、解約返戻金、譲渡益などの形で資金を自身の口座に着金することになります。
多くの日本人が加入しているオフショア金融商品としては以下の3つが存在します。
- 多額の死亡保障が付いた生命保険商品
- 少額の死亡保障が付帯した信託商品
- 純然たる信託商品
運用期間中は非課税と考えられる理由
多くのオフショア金融商品は、運用期間中に得られる利益に対し、即座に課税されないと考えられています。それは日本の税法において「未実現利益」に対する課税が基本的に行われないからです。
- キャピタルゲイン課税の仕組み:日本の税法では、原則として「実現した利益」に対して課税が行われます。そのため、運用中の資産価値の増減に対しては、税がかかりません。
- 生命保険の積立方式:生命保険商品として運用される場合、満期や解約時に初めて利益が確定するため、それまでは課税対象となりません。
- 海外での運用:海外の資産運用会社やファンドでの運用は、その国の税制の影響を受けますが、日本では受取時点での所得として扱われるため、運用中は課税対象になりにくい。
ただし、運用中に配当や利息を受け取る場合、または、資金の一部取り崩しを行う場合、それが契約者のもとに支払われると、所得税の対象となることがあります。そのため、投資の種類や形態によって税務処理が異なる点に注意が必要です。オフショア投資に関して、画一的な税務処理が出来ないのは、商品の自由度や契約者毎の事情が異なるためです。
着金時に発生する税金の種類
オフショア金融商品の着金時には、以下の税金が関係してきます。
(1)所得税
オフショア投資による収益は、日本の税法上、原則として「所得」として扱われます。具体的には
- 利息や配当 → 雑所得または配当所得
- キャピタルゲイン(譲渡益) → 譲渡所得
- 保険金の満期返戻金 → 一時所得
日本の居住者であれば、全世界所得課税の原則に従い、日本国内で課税対象となります。
(2)住民税
所得税が発生する場合、原則として住民税(10%)も発生します。
(3)外国税額控除
オフショア投資では、投資先の国で源泉徴収税が差し引かれることがあります。この場合、日本で確定申告を行う際に、外国税額控除を適用することで、二重課税を回避できる可能性があります。
受け取り方法による税額の違い
同じ利益額でも、着金時の受け取り方法によって税額に大きな違いが生じます。非常にシンプルですが、例えば、1,000万円の元本が2,000万円に増えた場合を考えてみましょう。
【A】信託商品を雑所得として受け取る場合
- 利益:1,000万円
- 課税対象額:1,000万円
- 税率(最大):45%
- 推定税額:450万円
【B】生命保険商品の解約返戻金として一時所得で受け取る場合
- 利益:1,000万円
- 課税対象額:500万円(利益の1/2)
- 税率:20%
- 推定税額:100万円
このように、生命保険としての受け取る場合は、課税対象額が半分になるため、最終的な税額も大幅に抑えられる可能性があります。オフショア金融商品の中には、時価の101%の死亡保障を付けた金融商品や、CRタイプと呼ばれる金融商品がありますが、これらは日本人投資家向けに、着金時の税金を意識しているのかもしれませんね。
101商品とCR商品とは?
101商品
101商品とは、生命保険の形を取りながらも、投資性の強い商品を指します。契約者が一定期間保険料を支払い、その後、保険契約を解約することで解約返戻金として時価総額の101%の運用益を受け取る仕組みです。生命保険としての側面があるため、解約時の利益は一時所得として扱われる可能性があり、課税対象額が抑えられる可能性があります。
特徴としては、
- 運用期間中の利益は課税されない
- 解約時に一時所得扱いとなり、課税対象額が1/2になる
- 資産運用と相続対策の両方に活用される
ただし、1%の運用益が余分に付されるのが、生命保険商品として認められるのかについては、専門家の間でも意見の分かれる所で、金融商品の総合的な性質や、ファンドの中身を見て判断される場合が多いようです。
CR商品
CR(Capital Redemption)商品は、信託商品に近い性質を持ちながら、生命保険のような契約形態をとる金融商品です。一般的な信託商品と異なり、契約者が保険会社と長期間の契約を結び、満期時または解約時に運用益を受け取る形となります。RL360°やインベスターズトラストなどの国際保険会社が、日本人向けに組成する商品に、これらの性質を持つ商品があります。
特徴としては、
- 積立年数に応じて、元本の一部保証があるケースがある
- 運用中の利益は課税されず、即時再投資に回り、商品解約時にまとめて課税される
- 途中で積立を停止した場合、通常の信託商品へと商品デザインが変容する
いずれのタイプも、日本人投資家向けにデザインされている金融商品だが、税務上の取り扱いが複雑なため、画一的な税務処理が出来ず、個々の事案ごとに税額の算定が必要になると思われ、利用時には慎重な検討が必要です。
当事務所からのアドバイス
オフショア金融商品を契約する際には、税務の取り扱いについて、過去の事案や具体的なケースを必ず質問しましょう。「税理士に聞いてくれ」としか言わない、あるいは「税金なんて払わなくて良い」という返答をするIFAや紹介者から契約してはいけません。
日本の法律と現地の法律、政治的規制の影響を考慮すること
オフショア金融商品は、契約する国の法律に基づいて商品が運用されるため、日本の金融商品とは異なるルールが適用されます。 反面、納税方法については、日本在住の日本人には当然に国内法が適用されます。更に、投資先のオフショアエリアの規制変更による影響を理解しておかないと、将来的に資産の引き出しが困難になる可能性があります。
チェックすべきポイント
- 契約国の金融規制が変わった場合、どう影響を受けるか?
- 居住国の変更(日本→海外など)で契約内容が変わるか?
- 契約した資産運用会社が倒産した場合の補償制度はあるか?
当事務所からのアドバイス
契約前に、資産運用会社の在する国の金融規制の動向を確認し、将来的なリスクも想定しておきましょう。
CRS(共通報告基準)について
CRS(Common Reporting Standard)は、各国の税務当局が海外金融機関との間で個人や法人の口座情報を自動的に交換する国際基準です。OECD(経済協力開発機構)によって策定され、日本を含む100カ国以上が参加しています。
CRSの特徴として、
- 海外の銀行口座や金融商品の情報が日本の税務当局に報告される
- 税務当局が海外資産を容易に把握できるため、無申告リスクが高まる
- 国によって情報交換の精度にばらつきがあるが、年々規制は強化されている
特に、HSBCなどの大手国際銀行はCRSの適用が厳格で、日本の税務当局と積極的に情報を共有しています。そのため、「海外だからバレない」という考えは通用しません。オフショア投資を行う場合、CRSの影響を理解し、適切な税務処理を行うことが求められます。「海外の銀行にお金を入れていれば、税務署は気付かない」という幻想を信じてはいけません。
税の知識に疎い紹介者の発言を鵜呑みにしない
オフショア金融商品の営業は、高利回りやメリットを強調しすぎる傾向にあります。 しかし、実際には「契約内容をよく読んでいなかった」「リスクを十分に理解していなかった」というトラブルが後を絶ちません。 また、日本ではオフショア金融商品の勧誘・営業活動は法律で禁止されていますが、実態は多くの紹介者が「自身が契約している金融商品をただ紹介するだけ」という建前で、実質的な勧誘・営業行為を行っています。そのような紹介者は金融知識や税の知識について不勉強な事が多く、長期間の運用が必要なオフショア投資の継続的なサポートを担える存在にはなり得ません。もし、貴方がオフショア金融商品について、個別具体的な商品の説明を受けたら、それは違法な勧誘行為です。直ぐに金融庁に通報しましょう。
チェックすべきポイント
- 元本の140%保証などの謳い文句で「確実に儲かる」「リスクはゼロ」といった説明を受けていないか?
- 口頭説明と英文契約書の内容にズレがないか?
- 想定外の手数料や追加の隠れコストがないか?
- 着金時の税金に関してのリスクを認識しているか?
当事務所からのアドバイス
契約書を隅々まで読み、紹介者の言葉だけを信じないこと。契約書の内容が全てです。英文の契約書の場合、正確に翻訳させましょう。いい加減な会社は、自動翻訳したスクリーンショットを見せてきますが、英文契約書は専門の知識を持った翻訳家による正確な翻訳作業が必須です。
まとめ
オフショア金融商品は、適切に活用すれば、契約者に大きなメリットをもたらす可能性があります。しかし、契約の透明性やリスクを十分に理解した上で慎重に選択することが重要です。また、税務処理を適切に行うことで、不要な税務リスクを回避し、より効率的な資産運用を実現できます。目先の手数料やリターンも重要ですが、受け取るときの税務処理まで考慮してプランニングすることが重要です。
- 101商品やCR商品は税務上の取り扱いが複雑になるため、慎重に選択すること
- 運用期間中は課税されない場合が多いが、受け取り時に適切な税務処理が必要
- 受け取り方法によって税額が大きく異なるため、商品選定は慎重に選択すること
- 確定申告を適切に行い、税務リスクを回避すること
- オフショア口座の情報はCRSによって共有されるため、無申告のリスクを理解すること
- 税務申告に関する具体的な判断は国際資産課税に強い税理士などの専門家に相談すること
なお、本記事における税金についての考察はあくまで私見であり、実際の税務申告に関する手続きや判断については、専門の税理士にご相談ください。当事務所では税務申告業務は行っておりませんので、ご了承ください。



